今日は、2030年の科学技術について予想してみたいと思います。科学技術は、私たちの生活や社会に大きな影響を与えるものです。近年では、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するために、ワクチンや治療薬の開発、遠隔医療やオンライン教育などのサービスの普及、コンタクトレスやテレワークなどの新しい働き方や暮らし方など、科学技術が重要な役割を果たしています。
では、2030年にはどのような科学技術が実現されるのでしょうか？また、その科学技術は私たちにどのような影響を与えるのでしょうか？ここでは、国内外の政府や民間企業などが行っている未来予測や研究開発計画などを参考にしながら、2030年の科学技術とその影響について考えてみます。
2030年の科学技術の予測
2030年までに実現されると予測されている科学技術は多岐にわたりますが、ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
- 自動運転・無人運転
自動運転・無人運転とは、人間が運転する必要がなく、車両自体が周囲の状況を認識し、制御し、目的地まで移動する技術です。現在では、自動運転レベル（※1）という指標で自動運転の度合いを表しており、レベル0からレベル5まであります。レベル0は人間が完全に運転する状態であり、レベル5は人間が全く関与しない完全自動運転状態です1。
自動運転・無人運転は、交通事故や渋滞の減少、高齢者や障害者などの移動支援、効率的な物流や配送サービスなどのメリットが期待されています。また、自動運転・無人運転には、人工知能（AI）、センサー、通信ネットワークなどのさまざまな技術が必要とされます。
現在では、自動運転レベル2からレベル3程度の技術が実用化されており23 、日本では、2020年に自動運転レベル3の車両が発売されました。2030年には、自動運転レベル4からレベル5の技術が実現されると予測されています 。日本では、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、自動運転の実証実験や社会実装が進められており 、2030年には、自動運転の普及率が30％に達すると見込まれています。
- 太陽光などのエコな発電システム
太陽光などのエコな発電システムとは、化石燃料を使わずに、太陽光や風力、水力、地熱などの自然エネルギーを利用して電気を生成する技術です。エコな発電システムは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を削減し、エネルギー安全保障や経済効果などのメリットが期待されています。また、エコな発電システムには、太陽電池や風力発電機などの発電装置や、蓄電池やスマートグリッドなどの貯蔵・配電技術が必要とされます。
- 遠隔医療
遠隔医療とは、インターネットやスマートフォンなどの通信技術を利用して、医師や患者が離れた場所にいても、診察や治療を行う技術です。遠隔医療は、医療のアクセスや品質の向上、医療費の削減、感染症の予防などのメリットが期待されています。また、遠隔医療には、画像診断や人工知能（AI）などの診断支援技術や、ウェアラブルデバイスやロボットなどの治療支援技術が必要とされます。
現在では、新型コロナウイルスの感染拡大により、遠隔医療の需要が高まっており 、日本では、2020年に遠隔診療の保険適用が拡大されました。2030年には、遠隔医療が一般的になり、様々な場面で利用されると予測されています。例えば、地域医療や災害医療では、専門医と連携して高度な医療を提供することができます。在宅医療や介護では、自宅で健康状態をモニタリングし、必要に応じて医師と相談することができます。予防医療や健康管理では、生活習慣や遺伝子情報などを分析し、個人に最適なアドバイスを受けることができます。
量子コンピューターとは、量子力学の原理を利用して計算を行うコンピューターです。量子コンピューターは、従来のコンピューターでは解けないような難問を高速に解くことができると期待されています。量子コンピューターは、暗号解読や人工知能（AI）などの情報処理技術や、素材開発や薬剤開発などの科学技術に革新的な影響を与える可能性があります。また、量子コンピューターには、量子ビットや量子回路などの量子デバイスや、超伝導素子やレーザー光などの物理技術が必要とされます。
現在では、世界各国で量子コンピューターの開発競争が激化しており 、日本では、2020年に国立研究開発法人理化学研究所（RIKEN）が国内最大規模の量子コンピューター「京都」を稼働させました。2030年には、実用化に向けた取組が加速し、量子コンピューターが一部の分野で従来のコンピューターを凌駕すると予測されています。
2030年の科学技術の影響
2030年までに実現されると予測されている科学技術は、私たちの生活や社会に大きな影響を与えると考えられます。ここでは、その影響についていくつか考えてみます。
- 環境・エネルギー
太陽光などのエコな発電システムは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を削減し、環境に優しい社会を実現することができます。また、エネルギーの自給自足や分散化を促進し、エネルギー安全保障や経済効果を高めることができます。2030年には、再生可能エネルギーの割合が50％以上になると予測されています。
- 交通・移動
自動運転・無人運転は、交通事故や渋滞の減少や、高齢者や障害者などの移動支援など、交通・移動の安全性や利便性を向上させることができます。また、効率的な物流や配送サービスなど、交通・移動のビジネスモデルも変化することができます。2030年には、自動運転・無人運転の普及率が30％に達すると見込まれています。
- 医療・健康
遠隔医療は、医療のアクセスや品質の向上や、医療費の削減や感染症の予防など、医療・健康の効率性や効果性を向上させることができます。また、在宅医療や介護や予防医療や健康管理など、医療・健康のサービスも多様化することができます。2030年には、遠隔医療が一般的になり、様々な場面で利用されると予測されています。
- 情報処理
量子コンピューターは、従来のコンピューターでは解けないような難問を高速に解くことができるため、情報処理の能力や範囲を飛躍的に拡大させることができます。また、暗号解読や人工知能（AI）などの情報処理技術や、素材開発や薬剤開発などの科学技術に革新的な影響を与える可能性があります。2030年には、量子コンピューターが一部の分野で従来のコンピューターを凌駕すると予測されています。
まとめ
今回は、2030年の科学技術について予想してみました。科学技術は、私たちの生活や社会に大きな影響を与えるものです。2030年までに実現されると予測されている科学技術は多岐にわたりますが、その中でも自動運転・無人運転、太陽光などのエコな発電システム、遠隔医療、量子コンピューターなどを紹介しました。
参考文献
https://ushikubou.com/business-technology-future
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa202001/detail/1421221_00004.html
